

どちらも「だれかに伝える」という意味です。
大きなちがいは伝える内容と伝える相手です。 では、くわしく見ていきましょう
Contents
「報告する」と「知らせる」のちがい
それぞれのちがいを表にまとめてみました。
報告する | 知らせる | |
内容 |
仕事や作業がどんな状況か、またはどのような結果だったか。 今のこと、過去のこと。 |
情報や事実、または自分の気持ち。 未来のこと、今のこと、過去のこと。 |
相手 | 仕事や作業がどうなったのかを知りたいと思っている人に。 | たくさんの人に。 自分が伝えたい相手に。 |
次の例から考えてみましょう。

会社で書くのは、
〇報告書 ×お知らせ書
報告書には、どんな仕事がどのようになったかが書かれていますよね。
そして、それは会社の人や取引先の人が読みます。
会社の人や取引先の人は、その仕事はどうなったのか知りたいと思っています。
だから、「報告書」と言います。
「お知らせ書」という言い方はありません。
でも、もし「お知らせ書」と書かれていたらどうでしょうか。
これから何かを始めるのかな?
自分だけではなく、たくさんの人に向けて書かれているのかなと感じます。
次の例はどうでしょうか。

お店の前に貼ってあるのは、
〇店内禁煙のお知らせ ×店内禁煙のご報告
「店の中でたばこを吸ってはいけません」という情報を伝えたいので、「店内禁煙のお知らせ」と書きます。
では、「店内禁煙のご報告」と書かれていたらどうでしょうか。
このはり紙の下に、店内禁煙を決めた理由が詳しく説明されているのかなと思ってしまいます。
「報告する」と「知らせる」の例文
では、「報告する」と「知らせる」の例文を見てみましょう。
〇明日の会議で出張の報告をいたします。
×明日の会議で出張のお知らせをいたします。
出張でどのようなことをして、どのような結果だったか伝えるので「報告」です。
×スケジュールの変更についてご報告します。
〇スケジュールの変更についてお知らせします。
スケジュールが変わるという情報を伝えるので「お知らせ」です。
「報告する」と「知らせる」の練習
では、練習してみましょう。
次の文では、「ご報告します」と「お知らせします」のどちらがいいでしょうか。考えてみてください。
答えは、いちばん最後にあります。
①担当者が変更となりますので、( )。
②後で入金先を、( )。
③今後の計画について、二つの点から( )。
④次の会議の日程は、決まり次第( )。
⑤下記のようなクレームがありましたので( )。
どうでしたか。
「報告する」と「お知らせする」のちがいはわかりましたか。
「取り急ぎ、ご報告まで」の使い方
最後に、ビジネスメールでよく使われている言い方を紹介します。
メールの最後に、
「取り急ぎ、ご報告まで。」
と書かれているのを見たことはありませんか。
意味は、「急いでいるので、今は簡単に伝えます」です。
どうなったのか詳しく説明したいけれど今はできません、と言いたいので、「報告」を使います。
×取り急ぎ、お知らせまで。 という言い方はしません。
「取り急ぎ、ご報告まで。」 は便利な言い方ですが、たくさん使うのはよくありません。本当に時間がないときだけ使いましょう。
また、上司や取引先の人に使うのは失礼なのでやめましょう。
どうしても時間がなくて、上司や取引先の人に詳しい報告ができない時は、以下のように書くといいと思います。
「まずは、結果のみご報告いたします。 詳細は改めてご報告いたします。」
練習の答え
①お知らせします。
②お知らせします。
③ご報告します。
④お知らせします。
⑤ご報告します。
どうでしたか?ぜんぶ正解できましたか?
「報告する」と「お知らせする」は、伝える内容と伝える相手に気をつけて使い分けてください。
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