

どれも「わかりました」という意味のていねいな言葉ですが、伝える気持ちと相手がちがいます。 では、くわしく見ていきましょう。
Contents
「かしこまりました。」「承知しました。」「承りました。」の意味
それぞれの意味のちがいを表にまとめてみました。
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伝える気持ち |
相手 |
かしこまりました。 |
私はあなたに対して失礼なことはしません。 |
社外、お客様 |
承知しました。 |
あなたの言っていることがわかりました。その通りにします。 |
社内、社外、お客様 |
承りました。 |
わかりました、私がやります。 |
社外、お客様 |
ひとつずつくわしく説明していきます。
「かしこまりました。」の意味
まず、「かしこまる」の辞書の意味を見てみましょう。
1.身分(みぶん)の高い人の前などで、おそれつつしんだ態度(たいど)をとる。また、つつしみの気持ちを表して、姿勢(しせい)を正してすわる。正座(せいざ)する。
2.つつしんで承知(しょうち)する。承(うけたまわ)る。
出典:明鏡国語辞典:
なかなかむずかしい説明ですね…。 でも、「つつしんだ態度」「つつしみの気持ち」「つつしんで」と何回も「つつしむ」という言葉が使われていますね。


たとえば、次のように使われます。
・お酒をつつしむ。→ お酒を飲みすぎない。
・口をつつしむ。 → 失礼なことや変なことを言わない。
なので、「かしこまりました。」は、「私はあなたに対して失礼なことはしません。」という気持ちをあらわしている言葉です。
とてもていねいな言葉なので、ホテルやレストランなどのサービス業でよく使われます。
また、社内の人よりも社外の人やお客様に対して使われる言葉です。

「承知しました。」の意味
では、次に「承知」の意味を辞書で見てみましょう。
1.知っていること。わかっていること。
2.聞き入れること。承諾(しょうだく)すること。
3.許すこと。
出典:大辞林
これは、「かしこまる。」よりわかりやすいですね。
「承知」は「わかる」とか、「聞き入れる=聞いてその通りにする」という意味です。 そして、「承知」は謙譲語なので、上司など目上の人にも使うことができます。
なので、「承知しました。」は、「あなたの言っていることがわかりました。その通りにします。」ということを伝える言葉です。
社内でも社外でも、お客様にも使える言葉です。
「承りました。」の意味
では、次に「承る」の意味を辞書で見てみましょう。
1.「受ける」「引き受ける」の謙譲語。
2.「聞く」「伝え聞く」の謙譲語。
出典:明鏡国語辞典
「受ける」や「聞く」の謙譲語であることがわかりますね。 そして、ポイントは「受ける」の部分で、「承る」には、それを自分がやります!という気持ちがあるのです。
なので、「承ります。」は「わかりました、私がやります。」という気持ちを伝える言葉です。
「承ります/承りました。」と聞くと、相手は「この人がしっかりやってくれるんだ」という気持ちになるので、特に社外の人やお客様に対してよく使われます。
「かしこまりました。」「承知しました。」「承りました。」の例文と使い分け
それぞれが伝える気持ちと相手を整理すると、以下のようになります。
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伝える気持ち |
相手 |
かしこまりました。 |
私はあなたに対して失礼なことはしません。 |
社外、お客様 |
承知しました。 |
あなたの言っていることがわかりました。その通りにします。 |
社内、社外、お客様 |
承りました。 |
わかりました、私がやります。 |
社外、お客様 |
では、今度は例文を見ながら、使い方を見ていきましょう。
A:予約の人数を4人に変更したいのですが。
B:〇4名様に変更ですね。かしこまりました。
〇4名様に変更ですね。承知しました。
〇4名様に変更ですね。承りました。
相手は、お客様です。
この場合、どの言い方も使えます。
ていねいな態度を示して「かしこまりました。」と言ってもいいです。
「予約人数の変更についてわかりました。」という意味で「承知しました。」と言ってもいいです。
「予約人数は私がしっかりやっておきます。」という意味で、「承りました。」もいいです。
A:すみません、田中様はいらっしゃいますか。
B:〇田中ですね。かしこまりました。少々お待ちください。
△田中ですね。承知しました。少々お待ちください。
✕田中ですね。承りました。少々お待ちください。
相手は社外の人です。
「かしこまりました。」は、ていねいな態度を伝えることばなので〇です。
「承知しました。」は、「わかりました。」の意味ですが、「田中さんがいるかどうか」を確認するのははあまり難しいことではないので、「わかりました」と答えるのはちょっと変な感じがします。
「承りました。」は、「私が担当します。」ですが、何も担当することはないので✕ですね。
A:月末までに報告書を書いてください。
B:△かしこまりました。すぐに始めます。
〇承知しました。すぐに始めます。
△承りました。すぐに始めます。
社内の会話なので、「かしこまりました。」はちょっとていねいすぎます。
「承知しました。」は、ぴったりの返事です。
「承りました。」も、社内の人にはあまり使わない言葉なので△です。
A:(電話で)どうもありがとうございました。失礼します。
B:△かしこまりました。すぐに始めます。
✕ありがとうございます。吉田がかしこまりました。
✕ありがとうございます。吉田が承知しました。
〇ありがとうございます。吉田が承りました。
「吉田が承りました。」は、「ここまでの電話の内容は私が担当して聞きました。」という意味で、電話を切るときに言う表現です。
「かしこまりました」「承知しました」「承りました」のちがい、まとめ
「かしこまりました」「承知しました」「承りました」のちがいは、わかりましたか。伝えたい気持ちと伝えたい相手で、使い分けてくださいね。
最後にもう一度使い分けのポイントを書いておきます。
|
伝える気持ち |
相手 |
かしこまりました。 |
私はあなたに対して失礼なことはしません。 |
社外、お客様 |
承知(しょうち)しました。 |
あなたの言っていることがわかりました。その通りにします。 |
社内、社外、お客様 |
承(うけたまわ)りました。 |
わかりました、私がやります。 |
社外、お客様 |
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