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「悲しい」「哀しい」「寂しい」「淋しい」のちがい
それぞれのちがいを表にまとめてみました。
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どうして |
どのように |
悲(かな)しい |
よくないことがあって |
心が痛くて泣きたい |
哀(かな)しい |
思いを心の中におさえていて |
胸が苦しい |
寂(さび)しい |
あってほしいものがそこになくて |
不安 |
淋(さび)しい |
なんとなくその状況が心細くて |
心細くて涙がでそう |
くわしく説明していきますね。
「かなしい」と「さびしい」のちがいと例文
辞書を調べると「悲しい・哀しい」と「寂しい・淋しい」の2つに分けられているものがほとんどです。なので、まずはこのちがいを確認しておきましょう。
ざっくりまとめてしまうと、
「悲しい・哀しい」は、心が痛い、苦しい。反対は、うれしい。
「寂しい・淋しい」は、その状況が不安、心細い。反対は、にぎやか。
です。
例文で考えるとわかりやすくなると思います。
「哀しい・淋しい」は常用漢字ではないので、ここでは「悲しい」「寂しい」を使って書きます。
〇テストの点が悪かったので悲しい。
✕テストの点が悪かったので寂しい。
テストの点が悪いと心が痛いですよね。不安になるわけではありません。そして、テストの点がよかったらうれしいですが、にぎやかになるわけではありません。だから、「悲しい」を使います。
✕誰もいない悲しい道を歩く。
〇誰もいない寂しい道を歩く。
誰もいない道を歩くのは不安ですね。心が痛くなるわけではありません。そして、反対を考えてみると、にぎやかな道とは言いますが、うれしい道とは言いませんね。だから、「寂しい」を使います。
〇恋人と別れて悲しい。
〇恋人と別れて寂しい。
これはどちらも〇です。
恋人と別れて心が苦しいのなら「悲しい」、ひとりぼっちになった状況が心細いなら「寂しい」を使います。
「悲しい・哀しい」と「寂しい・淋しい」のちがいがわかっていればだいたい大丈夫ですが、どうしてそれぞれ2つの書き方があるのか気になりませんか。
「悲しい」「哀しい」「寂しい」「淋しい」の4つのちがいも知りたい!という人はつづきも読んでくださいね。
「悲しい・哀しい・寂しい・淋しい」のちがいと例文
「悲しい」「哀しい」「寂しい」「淋しい」のちがいは、それぞれの漢字の意味がわかると見えてきます。
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漢字の意味 |
悲 |
非は、羽が左右に開く、割れるという意味。「非+心」で、心が割れること。 |
哀 |
衣は、かぶせて隠すという意味。「衣+口」で、気持ちを心の中に隠すこと。 |
寂 |
叔は、細くて小さいという意味。「宀(いえ)+叔」で、家の中の人の声が細く小さくなった様子。 |
淋 |
林は、木が続いているはやしのこと。淋は「⺡(水)+林」で、水が続くこと。そこから、涙の意味。 |

「悲しい」「哀しい」のちがいと例文
漢字の意味によると、「悲しい」は心が割れるような辛さ、「哀しい」は気持ちを隠した辛さであることがわかります。
例文を見てみましょう。
「悲しい」と「哀しい」はどちらを使ってもいいですが、どちらかというとこっちのほうがぴったりするという例文をあげてみました。
<悲しい>
〇仲のいい友達が転校したので悲しい。
〇悲しくて涙が止まらない。
〇大切な人形がこわれてしまって悲しい。
<哀しい>
〇虫が哀しそうに鳴いている。
〇その人はどこか哀しい目をしていた。
〇懐かしいような哀しいような気分になった。
「悲しい」のほうは泣いてしまいそうな状況ですが、「哀しい」のほうは泣くというよりも泣きたい気持ちをがまんしている感じがしませんか。
そして、「哀しい」のほうが小説や文学などに書かれているような美しさが感じられます。「哀しい」は、とても日本人的な表現と言えるかもしれません。
「寂しい」「淋しい」のちがいと例文
漢字の意味をみると、「寂しい」は、そこにあったものが小さくなる辛さ、「淋しい」は静かな場所で涙が出そうな辛さであることがわかります。
例文を見てみましょう。
ここでも「寂しい」と「淋しい」はどちらを使ってもいいですが、どちらかというとこっちのほうがぴったりするという例文をあげてみました。
<寂しい>
〇娘が留学するので寂しい。
〇知らない土地で寂しい生活を送る。
〇たばこを止めたので口が寂しい。
こちらは、あるはずだったものがないという状況が書かれています。
いつもいるはずの娘が留学していなくなること、誰も知っている人がいない土地にいること、いつもは口にたばこがあったけれど今はないこと、その「状況」が辛いということを伝えています。
<淋しい>
〇君がいなくて僕は淋しい。
〇笑った後ですごく淋しくなった。
〇ペットが死んで淋しい。
こちらは「状況」というよりも「気持ち」が辛いということが書かれています。
あなたがいなくなって僕が辛いし、笑った後で自分が辛く感じたし、ペットがいなくなって自分が辛いというようにです。そして、どれも涙が出そうな状況ですね。
「悲しい」「哀しい」「寂しい」「淋しい」のちがい、まとめ
「悲しい」「哀しい」「寂しい」「淋しい」のちがいは、わかりましたか。どうして・どのように辛いのかを考えて、使い分けてくださいね。
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どうして |
どのように |
悲(かな)しい |
よくないことがあって |
心が痛くて泣きたい |
哀(かな)しい |
思いを心の中におさえていて |
胸が苦しい |
寂(さび)しい |
あってほしいものがそこになくて |
不安 |
淋(さび)しい |
なんとなくその状況が心細くて |
心細くて涙がでそう |
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